yamamoto_big
No.179

山本 眞人さん

需要研究所  所長
思考の道具箱は、未来に希望のシナリオを探すための鍵となる

神保町二丁目の古い小さなビル。その一階には、温かく新鮮で不思議な魅力を持った古本屋さん「ブックダイバー」がありました。Tokyo Local Peopleでも紹介されたブックダイバーは、今年の11月末に惜しまれながら閉店の日を迎えました。その建物の少し軋む階段を上がると、需要研究所に辿り着きます。迎えてくれたのは所長の山本さんです。

「数年前に研究所を市ヶ谷から移転する際、『安くて面白いところ』を探していると友人に相談したところ、こちらの建物の二階を紹介してもらいました」

需要研究所で山本さんが活動をはじめたのは経済学部在学中の1970年代。まだ「マーケティング」という言葉がそれほど流通していなかった頃、当時飯田橋にあった需要研究所は小規模ながらも複数の会社と連携してフィールドワークとプランニングを通した新規事業のサポートを行っており、山本さんは学生の頃からアシスタントをしていました。その調査方法は山本さんの師匠たちが作り上げた独自の手法で、他の国や地域の真似ではないものでした。

その後、需要研究所を拠点に小売業のマーケティングに限らず、地域・アジア文化のフィールドワーカーとしても活動してきた山本さん。数々のフィールドワークで得た具体的な問題意識には、共通する“鍵”があると言います。山本さんの著書『宇宙卵を抱く』には、そのことが書かれています。

「本の中では、21世紀現在に存在している問題を71のトピックでとりあげています。すべて違う問題に見えていても、実はそこに共通する“鍵”がある。そのつながりを読み取り、思考方法の根っこを捉えることは、“思考の道具箱”を手に入れることだと言えます」

インタビューの中で、山本さんは60年代アメリカニューヨークで活躍した女性ジャーナリスト、ジェイン・ジェイコブスの最も有名な著書「アメリカ大都市の死と生」のエッセンスが神田という都市にも意味をもつのではないかと話してくださいました。

「彼女は、都市の発展の為には街に古い建物をなるべく残すことが必要だと言いました。そうすることによって、安く借りられるスペースが生まれ、若者がスタートアップしやすくなる。その街にある資源を見つけ直し新しいものを生み出すという考え方は、神田という街の未来を考えるときにもヒントになるかもしれません」

ライター:水谷冬妃(じじ神保町 編集部)

DATA
需要研究所

需要研究所

1964年設立。暮らし、ビジネス、地域づくりのためにリサーチやプランニングを行い事業主をサポートする。現在は「ローカルイノベーションのサポート」をテーマに、西表島の自然素材を生かした文化再生モデル作成のサポートや、山村の食材を生かした健康食品企画プロジェクトのサポートなどを行う。

〒101-0051 東京都千代田区神田神保町2-12 川島ビル206
TEL : 03-3234-0641
URL : http://www.kenji-world.net/fieldlabo/

閉じる