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No.86

野崎 裕子さん

梅の湯 スタッフ
建物の形を変えながらも
この街の銭湯として、
安心できる場をずっと残していきたい

以前は利用する人は年配の方が多かったという銭湯「梅の湯」ですが、今では東京マラソンをきっかけに皇居のまわりを走るランナーの憩いの場として様々な世代に利用されています。大正15年に建てられた煙突付きの昔ながらの建物は、平成12年に新しく建て替えました。初めて路地に「梅の湯」を見つけた人は、ビルに銭湯がある様子に驚くそうです。
野崎さんは、昼間はスカイツリーの展望台で働き、夕方の来られるときに家族で経営する梅の湯をお手伝いしています。銭湯に来るお客さんは、時間帯が決まっている人が多く、銭湯で同じ時間を過ごす人同士仲良くなるのだといいます。

「銭湯が、人と会って安心する場所だとよく感じたのは、4年前、3月11日の地震のときでした」と、野崎さんはお話してくれました。
地震が起こった後、関東圏でも住宅や銭湯のガスが止まってしまうところが多くあった中、梅の湯のガスは無事だったそうです。お店を開けていた梅の湯には、夜になると帰宅ができなかった神田の会社員や、ガスが止まってしまった地元の人が訪れ、不思議と賑やかだったといいます。
「普段は夜になると人がほとんど歩かない神田が、あのときはざわついていました。不安だからこそ、皆が集まる場所へ行って、お風呂に入りたいという人が多いのだと思いました。営業時間が過ぎても、お客さんは絶えませんでした。」

建物が古いままで、ガスが止まっていたら地震の後に営業はできなかった、と野崎さんは振り返ります。
「お風呂代も少しずつ上がり数の減っている銭湯ですが、銭湯を残そうという取り組みもあり、ありがたいと思っています。この街でこれからも長く銭湯を続けていけたらと思います」

ライター:EDITORYインターン 水谷冬紀
(成蹊大学4年 法学部政治学科)

DATA
梅の湯

梅の湯

神田・神保町2丁目の路地にある銭湯。神保町A2出口より徒歩2分。大正15年から続く老舗である。ハイパージェット、ボディジェット、電気風呂の設備がある。地元住民や会社員、皇居ランナーの利用が多い。営業時間は、15:00~25:00。祝日は15:00〜25:00。定休日は、日曜。

〒101-0051 東京都千代田区神田神保町2-8-2
TEL : 03-3261-5897

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